2026-03-05 By Harry Koehnemann

皆さん、こんにちは。私は最近、パートナー企業による「SAFe for Hardware」の取り組みを支援するため、日本と中国を訪問しました。本ブログ記事では、両国におけるSAFeの活動に関して、私が経験したことや気づきを共有したいと思います。それぞれの訪問についてご紹介した後に、全体のまとめを記載しています。現地の様子をぜひお楽しみください。

私の今回の日本への出張は、「SAFe for Hardware」コースの日本語版ローンチ支援と、私のチームメイトであり SAFeフェローの中谷 浩晃さんと共に、日本で初めてこのコースを提供することに焦点を当てていました。これら2つのイベントは、私たちのパートナーであるTDCソフト株式会社が、企画・主催してくれました。
下の写真の右側に写っているのは、TDCソフト株式会社の執行役員 フェローの上條 英樹さんで、弊社のPhil Knightの隣に立っています。上條さんは、Mik Kersten氏の著書「PROJECT TO PRODUCT」の日本語翻訳版を出版されたことでも知られています!
また私の隣には、株式会社NTTデータ先端技術のコーポレート・エグゼクティブの平岡 正寿さん、そして一番左側には、弊社ジャパンチームの古場 達朗さんと中谷さんが写っています。

今回の訪問で私が最も強く感じたのは、日本の企業が、世界中の高信頼性サイバーフィジカルシステムを構築する多くの組織と同様に、既存の階層的でリスク回避型のステージゲートモデルと、継続的な価値の流れとインクリメンタルな成果物提供を目指すSAFeの原則をどのように統合するかという課題に直面している、ということです。
日本では、この品質への厳格なこだわりと慎重なゲート管理が、国全体としても組織の内部においても、文化として深く重んじられており、非常に価値があるものとされています。数十年にわたり品質を第一の目標としてきたため、それを損なうように見えるかもしれない変革に対して慎重になるのは自然なことです。

しかし、DORA(DevOps Research and Assessment)メトリクスが示すエビデンスは非常に強力です。すなわち、「スピード(デプロイ頻度、サイクルタイム)」と「優れた品質(変更失敗率、平均復旧時間)」は、相反するものではなく、相乗効果をもたらし、相互に強化し合うものであるということです。「品質とスピードは二者択一のトレードオフではない」というこのメッセージは、日本でも深く受け入れられています。

世界中の組織が価値提供の最適化を模索している今、私は日本において、これらの組織が持つ品質へのコミットメントを尊重しつつ、スピードとスケールの双方を達成できる「リーンアジャイル」な働き方を導入するパートナーとなることに、非常に大きな機会を感じています。

中谷さんと私は、日本初となる日本語での「SAFe for Hardware」コースも実施しました。いくつかの製造業の企業や、日本のコンサルティングファームからの方々にご参加いただきました。
最初の演習では、参加者にアジャイルと SAFe の経験年数を示すボード上にドットを配置してもらいました。日本でもすでにアジャイルや SAFe の取り組みは行われています。しかし、今回のクラスは、長年のアジャイルおよび SAFe の経験を持つ人々と、経験がまったくない人々とにきれいに二分されており、中間に位置する人はいませんでした。
このような経験値のギャップがあったにもかかわらず、コースの内容とその運営はすべての参加者にとても好評でした。そして私自身も、実際の教室に戻って対面で教え、実践的なアクティビティを再び実施できたことを心から楽しみました!

私は昨年11月に2週間にわたり中国を訪れ、上海に1週間、北京に1週間滞在しました。中国には SAFe を導入している製造業の組織が数多くあり、今回の出張は主に、ハードウェア開発での SAFe の活用について企業と対話することに焦点を当てていました。
それが訪問の目的ではあったものの、ほぼすべての顧客との打ち合わせにおいて、AIに対しても非常に強い関心が示されました。これについては、後ほど詳しくご紹介します。

幸運なことに、今回は数名のホストの方々に案内していただきました。その様子は以下の写真の通りです。以前 Scaled Agileに在籍していた、Marsha Xueさんのことを、多くの方が覚えていらっしゃるかと思います。彼女は現在、Mettler Toledo に在籍しており、現地で3日間にわたり私のホストを務めてくれました。
また、北京ではパートナー企業である Beijing Linghe Maihua Consulting, Ltd の創設者である、Li Jianhao (James) 氏が、上海では同じくパートナー企業である ScrumCN の創設者である Jing Binliao (Eric) 氏が、それぞれホストとして案内してくれました。

率直に言って、現在の中国がすでにこれほどデジタルネイティブな国であることに、私は強い衝撃を受けました。私はあらゆることに「Alipay」という一つのアプリだけを使用しました。それはまるで、Uber、Amazon、Venmo、そしてその他多くのアプリがすべて一つに統合されているかのようでした。
ここで、あるエピソードをご紹介させてください。土曜日の夜、私のノートPCの電源アダプターが動かなくなってしまいました。しかも、翌朝には中国で初開催となる「SAFe Summit China」での登壇を控えていたのです。しかし、代替品を注文したところ、なんと1時間足らずで届いたのです。それも土曜日の夜にです!
アメリカ人である私にとっては、Amazonが「翌日」に配送してくれるだけでも嬉しいと感じるものですが、、この「1時間以内」というスピードには本当に驚愕しました。注文を手伝ってくれたホテルのフロントスタッフは、ただ微笑みながら「これが中国スピード(China speed)ですよ」と言いました。

先ほどご紹介した James 氏は中国で初開催となる「SAFe Summit」を主催しました。彼はまた、中国国内のさまざまな組織での SAFe の導入事例をまとめた、初の「China Agile Whitepaper」を発表しました。
登壇者の一人は ByteDance 傘下の Feishu の担当者で、自社のアジャイルプランニング製品における SAFe サポートのデモンストレーションを行ってくれました。これは Jira のようなアジャイルおよび SAFe 対応ツールであり、ByteDance のグループ各社をはじめ、中国国内で広く利用されています。彼らは近い将来、このツールを日本や世界各地でもリリースすることを計画しているとのことです。

ホストの方々のサポートのおかげで、現在すでに SAFe を導入している多くの製造業の企業を訪問することができました。

  • Mettler Toledo(精密機器)
  • Siemens Energy(MRI装置)
  • Volkswagen
  • INOVANCE(中国の全製造装置の40%を供給)
  • FAW(電気自動車製造)

私は、SAFeを導入している製造業のお客様を支援するために中国を訪れましたが、どの企業からも、私たちがAIに関して取り組んでいる内容について紹介し、意見交換をしてほしいとの要望を受けました。これは、私たちSAIのAI戦略の方向性を説明し、私たちが掲げるビジョン「AI-Empowered Agility」を広くアピールする素晴らしい機会となりました。

今回の出張で私が得た最大の収穫は、日本と中国において SAFe が非常に活発であり、成長を続けていると実感できたことです。数年前にアメリカやヨーロッパで SAFe の成長を支えたときと同じように、日本と中国における成長を加速させることができる、知識と経験の豊富なリーンアジャイルのコーチやパートナー企業の皆さんにとって、大きなチャンスが存在しています。
また、既存の顧客企業が、私たちから「AI-Empowered Agility」に関する情報をさらに引き出そうと強い関心を寄せてくれていることにも胸が躍っています。これは、私たちが進めている方向性が正しいと証明してくれているようでもあります。
今回私が直面した最大の課題は言葉の壁でした。だからこそ、現地の言葉を話す SAFe パートナーの皆さんと一緒に旅ができたことは、非常に貴重であり、言葉の壁を乗り越える大きな助けとなりました。

コースの詳細については、「SAFe for Hardware」のコースページをご覧ください。

Stay SAFe,

Harry and the Framework Team

もちろん、万里の長城にも行ってきましたよ!