2024-12-17 By Rebecca Davis

新しいSAFeビッグピクチャーにおける重要なストーリーラインを紹介するシリーズ第3弾のブログへようこそ。前回は「プロダクトイノベーション」について取り上げ、SAFeにおけるプロダクトイノベーションの利点、取り組み、そしてその流れについてご紹介しました。これら4つのストーリーラインは、プレゼンテーションと動画ページからダウンロード可能なプレゼンテーションとしてご覧いただけます。今回は第3のストーリーライン「価値のフローを加速する」に焦点を当てます。このテーマでは、フローとフィードバックがいかに結びついているかを探ります。

正しいプロダクトをつくるだけでは、組織が成功するには不十分です。競合他社に打ち勝ち、顧客の期待を上回り、正しい方向性を検証するための学びを得るには、必要なスピードでそのプロダクトを提供することも求められます。

SAFeにおいて、アジャイルリリーストレイン(ART)は、一定のケイデンスを適用し、主要なイベントを同期させることで、複数のアジャイルチームを連携させる効果的な仕組みを提供します。ARTは機能横断的であり、プロダクトを定義・開発・提供するために必要なすべてのケイパビリティを備えています。また、ARTはプロダクトマネジメント、システムアーキテクト、リリーストレインエンジニア(RTE)、ビジネスオーナーといった重要な役割によって支えられています。

PIプランニング、ARTシンク、システムデモ、そしてインスペクト&アダプトイベントを通じて、ARTの各チームは最優先の業務にコミットし、整合性を維持しながら、プロダクトおよびその開発プロセスの継続的な改善を実現します。

図1. SAFeを活用した顧客への価値のフローの加速

SAFeでは、かねてより、ARTが価値提供を加速させて成功するためには、フローが基盤であることを強調してきました。しかし、これはストーリーの半分に過ぎません。ARTは、ボトルネックや遅延を解消することで、顧客価値のフローを継続的に改善しつつ、ビジネスや顧客にとって最も重要な課題や最優先事項に常に取り組めるように、必要なフィードバックプロセスを強化しなければなりません。つまり、フローとフィードバックは、表裏一体なのです。

新たに公開されたフィードバックに関する記事では、効果的なフィードバックシステムが、ワークフロー上のボトルネックの特定と解消に深く結びついていることを説明しています。このつながりによって、組織全体でインサイトの収集と活用が迅速に行われ、チームを力づけるシームレスな情報の流れが生まれます。フィードバックの収集方法は多岐にわたり、定期的なイベント、市場データの分析、顧客行動の観察、プロダクト使用状況からの自動データ収集などが含まれます。SAFeでは、アジャイルチームからポートフォリオレベルまで、組織全体にフィードバックの仕組みが統合されています。
そして、フィードバックは、それを重んじる創発的な文化の中でこそ、真に機能します。


図2. 効果的なフィードバックシステムの構成要素

効果的なフィードバックの鍵となる要素を理解することで、アジャイルチーム、アジャイルリリーストレイン(ART)、そしてポートフォリオは、リアルタイムでインサイトを的確に収集し、対応することが可能になります。

  • フィードバックの情報源:
    フィードバックは、さまざまな情報源から得ることができます。どの情報源を選ぶかは非常に重要であり、それによって得られるフィードバックの量や種類が左右されます
  • フィードバックの設計
    フィードバックの設計では、どのような情報を求めるのか、なぜそれが重要なのか、そしてそれらの問いに応えるためにどのような種類のフィードバックが必要なのかに焦点を当てます。
  • フィードバックの収集
    設計内容に合意したら、それを実行に移し、フィードバックを収集します。
  • フィードバックの分析
    収集したデータを分析し、傾向やパターン、課題の根本原因を特定します。
  • 意思決定とアクション
    得られたフィードバックを活用して意思決定を行い、改善アクションを推進します。

フィードバックの仕組みを育むためには、前向きなフィードバック文化が組織に必要です。フィードバックは、明確で的確、かつ実行可能であるべきであり、受け手が背景やニュアンスを十分に理解できるよう、具体的かつ状況に即したインサイトを提供する必要があります。また、タイムリーなフィードバックも非常に重要であり、対話を意味あるものに保ち、素早い調整や改善を促します。過去の失敗ではなく将来の可能性に目を向けることで、チームはフィードバックに基づいて的確な意思決定を行えるようになり、感情的なバイアスを手放し、共に成長することができるようになります。

最終的に、心理的安全性のある環境を整えることが、フィードバックについて率直に話し合うためには不可欠です。こうした支え合いのある雰囲気の中では、個人が安心してインサイトを共有し、失敗から学び、恐れずにイノベーションを進めることができ、組織内での継続的な成長とコラボレーションへの道が拓かれます。

ぜひ、新たに公開されたフィードバックに関する記事と併せて、「フロー」の記事もお読みいただき、顧客ニーズを的確に捉え、イノベーションを推進し、持続可能な開発のフローを実現するために、どのようにフィードバックの仕組みを構築していくかをぜひご検討ください。

— Rebecca Davis and the Framework Team


ブログシリーズ:SAFeの再構築

 1. SAFeの再構築:リーンポートフォリオマネジメントによる戦略アジリティの実現

 2. SAFeの再構築:顧客中心の革新的なプロダクト開発

 3. SAFeの再構築:顧客への価値のフローの加速

 4. SAFeの再構築:成果の最大化とビジネスバリューの実現