Westpac – 銀行サービスにおけるSAFeの導入

「全員が同じトレーナーから同じメッセージを同時に聞いたことが、組織の足並みをそろえ、『ワンチーム』の文化を醸成するうえで大きな推進力となりました。」
—Em Campbell-Pretty, Context Matters
課題:
新しいオンラインバンキングプラットフォームの導入が成功した後、Westpacには多数の機能(フィーチャー)の追加の要望が寄せられ、迅速な対応が求められた
業界:
銀行
ソリューション:
SAFe®
成果:
- Westpacは、1週間で150人をウォーターフォール型からアジャイル型へと移行させることに成功し、チームからは好意的なフィードバックを得た
- チームとビジネス部門のエンゲージメントが向上
- サイクルタイムと不具合(欠陥)の発生件数が減少
ベストプラクティス:
- 経営層の賛同を得る ー リーダーシップが積極的に関与し、参加することは、チームの賛同を得るために不可欠
- すべての役割をトレーニングに含める ー 全員が必要なトレーニングを受けられるよう、三重の確認を行って確実にスケジュールを組む
- 徹底した準備 ー 1週間での導入を成功させるには、事前の入念な準備が不可欠
概要
オーストラリアの「4大銀行」の一つであるWestpacは、オーストラリア、ニュージーランド、アジア、イギリス、アメリカにおいて、約1,000万人の個人および法人顧客にサービスを提供しています。
課題
2015年、Westpacは新しいオンラインバンキングプラットフォームを立ち上げました。この立ち上げは非常に成功し、数々の賞も受賞しましたが、その一方で、追加の機能(フィーチャー)を迅速に提供することへの大きな需要が生まれました。そこで同社は、新たなケイパビリティの展開にスケールされたアジャイル手法を導入したいと考えましたが、この取り組みに適用するための質の高いトレーニングやノウハウが不足していました。
ソリューション
Westpacは、Scaled AgileのパートナーであるContext Mattersに支援を求め、その助言を受けてSAFeの採用を決定し、新しい機能(フィーチャー)のためのアジャイルリリーストレイン(ART)を編成しました。
ローンチ計画の開始に先立ち、同社はまず、ビジョンの策定、優先順位付けされたフィーチャーバックログの整備、プロダクトオーナーシップの方針の明確化、そしてキャパシティ配分に関する方針決定を行いました。
当時、各チームは進行中のプログラムの最終リリースに注力していました。次のリリースに向けて提供方法を変えるのであれば、迅速に動く必要がありました。限られたチャンスの中で、SAFeクイックスタートは唯一の解決策のように思えました。
1週間での立ち上げを実現するために、Westpacは全員を同時にトレーニングすることから始めました。週の半ばには、すべてのチームを共通の目標向けて連携させ、コミットメントを確保しながら、計画期間中もトレーニングを継続しました。週末には、専門的な役割向けのオリエンテーションや、オープンスペース、ツールに関するトレーニングをチームに提供しました。
開発チームは6週間以内に稼働可能となる予定だったので、Westpacは時間的余裕がないことを承知の上で、そのタイムスロットを確実に確保しました。ビジネス部門とIT部門の双方の経営層から承認を得たことで、次のステップに進む準備が整いました。
これらの取り組みを支えるために、Westpacはコミュニティ・オブ・プラクティスを立ち上げ、開発者向けに毎月の技術ワークショップを開催しています。

2日間のLeading SAFe®トレーニング
次に、ビジネス部門とIT部門から32名のリーダーが集まり、2日間にわたるLeading SAFeトレーニングを受講しました。WestpacにおけるSAFeの活用について議論を深めることで、チーム全体に高い期待感が生まれました。このトレーニングを通じて、リーダーたちは強力して、アジャイルリリーストレインのテーマを「Galaxy」と定め、すべてのチームに関連した名称を付けました。
「トレインに共通のアイデンティティを持たせることで、アジャイルリリーストレインという“チームの集合体”全体に一体感が生まれます。これが“ワンチーム”文化の土台となり、トレインの成功を後押しするのです」と、Context MattersのEm Campbell-Pretty氏は語っています。
SAFe Scrum XPトレーニングでは、8つのチームからなる1つのリリーストレインに60名が、2日間にわたり1つの部屋で2名のトレーナーのもとに集まりました。リリーストレインエンジニア(RTE)もこの2日間、チームレベルのトレーニングに参加し、チームメンバーにSAFeへのコミットメントを印象づけました。
「全員が同じトレーナーから同じメッセージを同時に聞いたことが、組織の足並みをそろえ、『ワンチーム』の文化を醸成するうえで大きな推進力となりました。」Campbell-Pretty氏は語っています。
翌週の月曜日、Westpacはリリーストレインを立ち上げました。直前になっていくつかの機能(フィーチャー)に関する要望があり、多少の混乱が生じましたが、チームとリーダー陣は計画に対するコミットメントを貫きました。
成果:サイクルタイムと不具合が減少
- Westpacは、1週間で100名をウォーターフォール型からアジャイル型へと移行させることに成功し、チームからは好意的なフィードバックが寄せられました。チームおよびビジネス部門のエンゲージメントは向上し、サイクルタイムと不具合の発生件数は減少しました。
- Westpacにおけるアジャイルの取り組みは着実に拡大を続けており、同社は最近、3回目となるPIプランニングセッションを実施しました。
追加資料
このSAFeの取り組みについてさらに詳しく知りたい方は、Em Campbell-Pretty氏がAgileAustralia16で発表したプレゼンテーションをダウンロードしてください。