SAFeの再構築:顧客中心の革新的なプロダクト開発

2024-12-09 By Marc Rix

新しいSAFeビッグピクチャーにおける重要なストーリーラインを紹介するシリーズ第2弾のブログへようこそ。前回は「リーンポートフォリオマネジメントによる戦略アジリティの実現」について取り上げ、戦略と実行をつなぐ上でポートフォリオリーダーシップが果たす重要な役割についてご紹介しました。今回は、SAFeにおけるプロダクトイノベーションのメリット、活動内容、そしてその流れについてご紹介します。これまでと同様に、フレームワークチームでは、チームとともにSAFeの再構築を進める中で、ぜひこれらのストーリーを読んで共有していただくことをおすすめしています。

プロダクトイノベーションとは?

組織には優れたアイデアが数多くありますが、それらをすばらしいプロダクトへと形にするのは容易ではありません。その結果、多くの組織は最大の成功をもたらすであろうソリューションの提供に苦労しています。SAFeはこの課題に対し、「適切なタイミングで、適切な顧客の、適切な課題を解決する」プロダクトイノベーション文化を醸成することで対応し、ビジネスに対して測定可能な価値を生み出すようにしています。

プロダクトイノベーションとは、変化する顧客ニーズに対応しつつ、進化するトレンドやテクノロジーを活用して、新しいプロダクトを開発したり、既存プロダクトを改善したりする継続的なプロセスです。以下のようなトレンドは、プロダクトイノベーションへの一層の注力を求めています:

・進化する顧客の期待
・破壊的な技術革新
・競争の激化
・プロダクトライフサイクルの短縮

SAFeでプロダクトイノベーションを実現する

プロダクトイノベーションを支える原則、プラクティス、役割、コンピテンシー、ツールはSAFe全体に分散していますが、現在のフレームワークではそれらがどのように連動して機能するかが明確に示されています。以下に示すように、プロダクトイノベーションは、組織全体で共有されるイノベーション文化に根ざした、顧客中心の5つの活動を通じて全社規模で実現されます。

それぞれの要素は、革新的なプロダクトを開発・提供する上で極めて重要です。

プロダクトビジョン – プロダクトの望ましい将来像を描き、アジャイルチームとART(アジャイルリリーストレイン)を共通の目標へと導きます。説得力のあるプロダクトビジョンは、組織を鼓舞し、共通の目的意識を生み出し、意思決定の指針となります。

プロダクトストラテジー – プロダクトビジョンを実現するための道筋を定義し、フィードバックや市場の状況に応じて進化するために必要な俊敏性を維持しつつ、明確な方向性を示します。

プロダクトデザイン – 顧客を中心に据えた思考、デザイン思考、リーンユーザーエクスペリエンス(リーンUX)デザインを組み合わせることで、解決すべき課題を深く理解し、市場に最適なソリューションを導き出します。

プロダクトデリバリー – 新しいアイデアが、継続的デリバリーパイプラインを通じて、アイデアから成果へと迅速に流れていくようにすることで、価値の実現を加速します。

プロダクトマーケティング – プロダクトイノベーションの特徴やメリットを強調することで、市場での認知度と関心を高めます。プロダクトマーケティング活動はプロダクトライフサイクル全体にわたり広く行われ、あらゆる段階での重要なフィードバックループを促進します。

プロダクトイノベーション文化 – 組織全体において、継続的な学習、実験、そして絶え間ない改善の精神を育みます。これにより、イノベーションが組織のDNAとして刻み込まれ、プロダクトは常に顧客ニーズと歩調を合わせて進化し続けます。

新しい「プロダクトイノベーション」に関する記事では、これらの要素と、それを支えるSAFeの原則、実践、役割、ツールについてより深く解説しています。

プロダクトイノベーションは、SAFeおよびすべてのアジャイルリリーストレインにとって不可欠な存在です。これにより、組織は提供内容を進化させ、変化する顧客ニーズに素早く対応し、破壊的技術を戦略的に活用し、競争の脅威に的確に対応し、測定可能なビジネスバリューの実現を加速できます。

この新たなガイダンスをぜひご活用いただき、組織内でそのストーリーを共有し、創造的で新しい方法でお客様を喜ばせていただければと思います。

— Marc, Harry, and the Framework Team


ブログシリーズ:SAFeの再構築

 1. SAFeの再構築:リーンポートフォリオマネジメントによる戦略アジリティの実現

 2. SAFeの再構築:顧客中心の革新的なプロダクト開発

 3. SAFeの再構築:顧客への価値のフローの加速

 4. SAFeの再構築:成果の最大化とビジネスバリューの実現